上記画像は外付けサッシュに内障子、裏障子とも言う(組子障子)の和室例です
内法とは 柱や各部材の、縦寸法又は横寸法の内側から内側まで「内寸法」の距離の事を言う (例:柱から柱の内寸法を「内法幅」敷居の上端 から鴨居の下端までの距離を「内法高」と言います)
内法材とは(内法もの、とも呼びます)敷居や鴨居など材の事で、柱の取り付く面にあたる造作材を「内法材」や「内法もの」と一般的に呼んでいます。
敷居鴨居の入れ方
鴨居/敷居の光りかた ※柱の癖の取り方 ★柱の癖の取り方を以下は光ると書きます
まず鴨居を光る前に・・・@鴨居を光る作業の前に@のような形の仮設の鴨居受け(仮鴨居受け、鴨居仮受けなどとも言う)を廃材などで作ります(この類の鴨居ストッパーとか既製の道具も多数販売されています) ※仮鴨居受けは両柱に必要のため@画像のものを2セット(1組)作ります。 ※鴨居の取り付く位置の柱は木殺しをしておきます。 木殺しとは玄翁の丸い頭の方でしかり叩いておく事を言います、鴨居を取り付ける際に水を柱に塗って滑り込ませます。
取り付け後木殺し部分が水で濡らしてあるので膨らんで内法材が隙間無く綺麗に取り付く、こんな事も細かいコツなのです。
※両メチ(両先端に臍)を付ける場合内法ジャッキ(豆ジャッキ)なども必要になる事があります。
A@で作った仮鴨居受けを柱の定位置にセットします。
★35角に対し一方が4寸角(通し柱)等左右の柱の寸法が異なる場合、光る材は必ず柱の芯から平行にセットしてます。
4寸柱と3寸5分の例:4寸柱にくっつけてセットした場合3寸5分角の方は2分5厘、空かせると平行になるという事です。
B図のように仮鴨居受に鴨居を乗せ光る作業をします。
※光る作業説明は下記、敷居の項で説明します(敷居は上面鴨居は下面(内法材の木表側)で墨を出しますが差し金の使い方は同様です)
光るについて(ひかる、とは柱の癖を移す作業)
よく語源は?と聞かれますが解りませんでゴメンナサイ「ひかる」の言葉は方言かもしれません、光るの意味は以下画像一連の作業の事を指します
敷居/鴨居を光る
@柱の取り付け面の癖は@・・・1/@・・・2又は直角の3通りあると思います。
例:@・・・図のように差し金を宛てます、この場合A点が当たるので図の当にA点を下側に記します。
@・・・2の場合B点が当たるので図のようにB点を記します。
A次にA図のように差し金の短手を柱面に正確に宛がい「C点線」を引きます(点線でなくとも長手の端のみでも構いません)
B差し金をC点に合わせる、次に@の作業で行ったA又はBの印にスライドして合わせ短手のB図のように鉛筆で線を引く、これが切り墨となる ※鉛筆を使って罫書きますが取り付け完了後は消しやすいように薄く栓を引く事を心がけましょう
C敷居を納めた状態
※この一連の柱の癖を写す作業を「光る」とか「光り付ける」と私たちは呼んでいます、又同じような意味合いで丸太をひかる、光り付けるとも言います。
敷居/鴨居の溝の種類
★用途や建具の種類によって溝の構成も異なりますが一般的多く使用されるものを抜粋しました。
★A=中樋端「なかひばた」(外側の部分は外樋端といいます)又は畦とも言う寸法を言います(溝を突く溝位置は鴨居/敷居共同じですが、敷居にフラッターレール等使う場合異なります
※溝の深さ鴨居は5分 敷居は1分〜1分5厘程度(敷居の場合フラッターレールや敷居滑りを貼る場合は、その分深く突きます)
★以下は木製建具及び合板製建具の用途です。建具と溝の組み合わせ関連が重要になります
@C芯から振り分けて突いた溝
★A=3分×7(さんぶひち)
主な建具の種類・・・両面襖戸など ★A=4分×7(しぶひち)
主な建具種類・・・襖建具/戸襖/障子/フラッシュ建具など
★A=5分×7(ごぶひち)
主な建具種・・・障子/ガラス建具/戸襖/フラッシュ建具など室内一般建具
A=3分×溝巾5分(図にはないですが)床の間、天袋/地袋/書院建具などの用途に用いる
AD芯寄り
★A=3分×7(さんぶひち)
主な建具種・・・内障子(裏障子)★A=4分×7(しぶひち)
主な建具種・・・内障子(裏障子)
※主にサッシュの内側に障子を建て込む場合に使います(この様に溝を寄せないとサッシュの縦框に障子が当り動かない)
BEチリ引き(開口のの半分が壁の場合などに使用ます、※ちり引きとは一本引建具を指す)
A=5分×7分
主な建具種・・・戸襖/フラッシュ建具
F無目敷居/無目鴨居(むめ) 溝を突かない敷居/鴨居で開き建具や下がり壁止め等の用途に用いる主な建具種・・・襖/戸襖/フラッシュ建具
GH欄間敷居/欄間鴨居
各種、填め込み欄間に用いる、溝巾は使用する欄間によって異なるが1寸から1寸2分程度
主な建具種・・・書院欄間各種/間仕切り欄間各種など
特殊引き込み例
下記画像例のように3本溝(3本建具)や4本溝(4本建具)加工で一方に建具を聞引き込み開口部を広く取ることが出来る この工法は建具枚数が多くなり柱幅に納まらない為、広枠納めなどとなる(幅広の鴨居、敷居、方立てなど、納め方は様々)
※さらに内法横に壁など建具引き込みスペースある場合、戸袋のように全ての建具を引き込めば全開口も可能になるので 部屋の間仕切り、解除するなど手間いらずで簡易に出来る利点がある。
建具建て込み
(建具切り込み) 一般に、引き違い建具は室内面又は座敷面に「切り欠き」が見える形になります。 (引き違いは正面、向かって右が手前/4枚建具は中央2本が座敷側に立て込む ※地方によって異なる場合あります) チリ引きや欄間などは設計しようによって建具の見付面は異なります。 ※開口の部分を大きく取るために3本溝や4本溝などの幅広の材を使用するなどの設計仕様もある 引き違いやチリ引きは建具が擦り合わない様に建具見込は1分程度細く作るのが通常です。
その他
音も静かで建具を軽く動かす為に敷居滑りやアルミ製のフラッターレール(様々な種類有り)などを在来の敷居に用いる事も多い、規格品の引き違い建具セットなどは床はフラット仕様(段差のない納まり)のアルミ製フラッターレールのものが主流になっています。
以下画像は在来工法で多く使う敷居、鴨居の溝の種類の例です。 ※建具の構造、種類によって溝の突き方やレールの種類などが異なるので組み合わせによって多種多様のパターンが考えられます。デザイン、間取り、使い勝手など考案し総合的に考慮しベスとな方法を選択します。
参考事項
★35角柱に対し一方が4寸角など左右寸法が異なる場合、光る材は必ず左右の柱芯から平行にセットして光る。
★敷居と鴨居の長さ寸法(上下の内法)は同寸になる事が好ましい
★敷居は真っ直ぐに鴨居は中央で若干上に反らせる(むくらせる)
★「鴨居敷居の鋸目の入れ方」
1・・・鉛筆の線を残して切る 2・・・鉛筆の線を半分残して切る 3・・・鉛筆の線の真上で切るなど・・・(2番がお勧めかな?)
★仕口は方メチ/両メチ/待ち臍/込み栓/待ち臍+込み栓/イモ(ぶつきり)など様々、臨機応変
★「柱に傷を付けない入れ方」 敷居又は鴨居を取り付ける際は柱に濡れ雑巾で少し濡らして滑りやすくしておく又、落とし込む側の小口の角(鴨居は上場、敷居は下場)を金槌で少し丸めに叩き小口には少し水を付けて落とし込む
※鴨居の場合内法ジャッキを使って柱間の内法を広げ両メチを入れる事もある(小口にボンド併用なども効果あり)
※柱〜鴨居が乾燥などによって後に隙間ができたりする事を防ぐ為、ボルト引き内法貫や鴨居引っ張り金具などのが使われる事もある。
内法ボルト引き
鴨居、無目鴨居などボルト引き参考図(内法ボルト引き参考図)
内法貫に9mmボルトを施工し図のような感じになります(内法貫は一般に90mm又は105mm以上×厚み30mm程度)
鴨居吊りは図のようなメカスなどで450mm間隔程度に吊ります(内法貫吊りは間取りや壁使用によって異なります)
※勿論ですが鴨居を定位置に取り付けてから内法ボルトを締め込みます
1本の柱に複数内法が取り付く場合のボルトの組み合わせ例
間取りによってボルト頭が見付に出る場合も起こり、それでは困ります、ボルト引きには@〜C例の
組み合せを応用すれば(複合するなど)幾通りものパターンが出来るはずです、間取りによってベストの方法を考案します
※C図の様にボルトが交差する場合はボルト半径分を互いに上下させボルトを交差させる等、臨機応変さが必要です
その他の方法
全ネジボルト(寸切りボルト ずんぎりボルト等とも言います)で直接に引く
(既製材は2M程度です短い場合ジョイント六角ボルトで繋ぎ延長します)
※複数面に鴨居がが入る又は見付にボルト頭が出ないようにしたりするには応用が難しい面もある
昨今、乾式工法では「鴨居引っ張り金具」などいろんな種類の金物が出回っているようです
※このページは掲示板で質問を受けましたが文字説明は困難の為、急遽作成したもので、間違いなど指摘頂けたら幸いです
上記工程通りが必ずしも正基準ではありません、現場は臨機応変さが必要です、それぞれ職人さん達は様々な細工/秘伝/など編み出した腕の良い大工さんも多くいます。
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